大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)1209 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人河和金作の上告趣意第一点について。

本件第一審判決に所論のような憲法違反の点があるということは、原審において

主張されておらず従つて原判決はこの点に関して何等の判断をも示していない。そ

れ故に論旨は適法な上告理由とならない。のみならず第一審判決中事実摘示(二)

の被告人の所為が昭和二一年勅令三一一号違反の正犯であることは明らかであつて、

第一審判決もこれを正犯として判示したものである。論旨はそれとは異なる主張を

前提とするものであるから採用することができない。

同第二点について。

当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第三二三号、同二三年六月三〇日大法廷判決)

に従えば、憲法三六条にいわゆる「残虐な刑罰」とは不必要な精神的肉体的苦痛を

内容とする人道上残酷と認められる刑罰を意味するのであつて、事実審の裁判官が

普通の刑を法律に許された範囲内で量定した場合において、それが被告人の側から

観て過重な刑と思われるとしても、これを「残虐な刑罰」ということはできない。

論旨を検討してみても今なお右の判例を改める必要は認められない。そうだとすれ

ば、裁判所が被告人に実刑を科したからとて、これを以て所論のように憲法三六条

に違反するものということはできない。論旨は理由がない。

被告人の上告趣意について。

所論は刑訴四〇五条に定める上告理由に該当しない。なお本件には刑訴四一一条

を適用すべき事由も認められない。

右の理由により刑訴四〇八条、一八一条に従い裁判官全員一致の意見を以て主文

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のとおり判決する。

昭和二六年六月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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